今、日本では自殺者が年間3万人を超えているとのことで大きな問題となっています。ここで自殺について考えてみたいと思います。
WHOでは、世界各国の自殺率、他殺率について報告しています。世界150カ国を対象としています。自殺率・他殺率というのは、人口10万人に対しての人数です。例えば自殺率10といえば自殺者が人口10万人のうち10人いるということになります。
2002年の統計でみますと
1位 リトアニア 40.2人
2位 ベラルーシ 35.1人
3位 ロシア 34.3人
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9位 日本 24.0人
11位 韓国 23.8人
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19位 フランス 18.0人
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27位 中国 13.9人
:
43位 アメリカ 11.1人
:
63位 イギリス 7.0人
:
100位 エジプト 0.0人
となります。
ちなみに他殺率は
1位 コロンビア 70人以上
2位 シェラレオネ 50人以上
3位 南アフリカ 40人以上
:
149位 日本 1人以下
日本は、先進国では最高の自殺率であり、そして最低の他殺率となります。日本国内では様々な殺人事件が報道されていますが、他殺率は世界最低なのです。そして事件の発生率も昭和39年(1964年)を最高としてその後極端に減っているのが現状です。
平成18年度の日本の自殺者は警察庁の発表によりますと、32,185人で、前年に比べ397人(1.2%)減少しました。男性が全体の70.9%%をしめます。年代別では、60歳以上が34.6%、次いで50歳代22.5%、40歳代15.6%、30歳代14.0%の順となります。職業別では、無職者が47.9%、被雇用者25.4%、自営業者11.1%、主婦・主夫8.3%となります。
自殺原因は、遺書などから考えると、1位が「健康問題」、2位「経済・生活問題」、3位「家庭問題」、4位「職場問題」となります。自殺率が高い都道府県は、青森県・秋田県で、低いのは徳島県・神奈川県となります。
若者の自殺についてお話しましょう。0歳から5歳毎に自殺をみてみますと、5歳以下の自殺はまずありません。もしあったとしても自殺だと判定できないでしょう。6歳頃からボツボツ自殺が始まります。しかし、5~9歳の自殺は極めて少なく、最近の20年間を見ても年に0~3人の自殺者があるに過ぎません。10歳を過ぎると少しずつ自殺者が現れてきます。加齢に伴って自殺者は増えていきますが、まだ14歳以下の自殺率は低いものです。文部科学省が日本全国の自殺者数・自殺率を発表していますが、14歳以下は年に約50~90名の自殺者があるだけです。15歳以上では自殺率は急増します。20歳以上はさらに自殺率は増え、55歳~59歳まで増え続けます。その年齢を過ぎますと自殺率は低下します。そして、70歳を越すと自殺率は増えだし、85歳~89歳、90歳以上で最大となります。
10歳、20歳代での自殺は、年により大きくバラツキがあります。1986年(昭和61年)は、他の年と違い非常に高いピークを示しています。この年はアイドル歌手が飛び降り自殺をした年で、マスコミが大々的にその報道をしました。このような影響を受けて若者の自殺がその年多かったのでしょう。若者の自殺は、社会変動のバロメーターといわれる所以です。不安な社会の中で不安定な心を持った若者が、ちょっとしたキッカケで自殺に踏み切るのです。
年齢や社会情勢によって男女の自殺者の差は変動しますが、どこの国でも、どの時代でも、どの年齢層でも、男性の方が圧倒的に女性より多いのです。この原因は、男と女という生物学的なもの、社会的要因などが考えられています。
季節ごとの自殺頻度をみてみますと、若者の場合は秋と春に多く、夏と冬には少ないという特徴があります。自殺時間は昼間が最も少なく夕方が一番多いようです。自殺の場所は自宅や近所が多いのですが、女性の10代後半だけ自宅から離れた場所が多いのです。若者の心は家庭と関連する物事で傷つき、そして自殺に踏み切ることが多いのです。
全自殺者の自殺方法は、
1位 首吊り
2位 飛び降り
3位 服毒
4位 入水
5位 ガス
6位 飛び込み
7位 焼身
8位 刃物
9位 感電
となります。男女により、年齢により自殺方法の順位は少し変わりますが、総合的にはほぼ上記の通りです。
若者の自殺の動機は、判定がなかなか困難ですが、警視庁や文部科学省の発表によりますと、家庭事情、進路問題、精神疾患、恋愛問題、学業不振などとなっています。アメリカや日本などの先進国では、優秀な大学の学生ほど自殺者が多い傾向にあるといわれています。親からの期待、自分に合わない部門への進学の苦痛、性や恋愛の問題、思想や社会情勢などさまざまな悩みが重なって自殺がおきるのです。
しかし、若者の自殺は、多くはその人格形成と関連します。幼少時より親の価値観の押し付け、自分の個性を認められない、信頼されない感覚の持続、親に対するあきらめと復讐心など、精神科医の斉藤学(さとる)氏がいう家族の中にある大きな苦しみが、若者を自殺に追いやるのです。しかし、その苦しみは外部には殆んど分かりません。家族の中の闇なのです。
家族の闇は、現在の日本が抱えている社会事情も影響を与えます。若者達は、インターネットで知り合っただけの関係で、一緒に自殺することがあります。1人で自殺するのは勇気が要りますが、複数だと踏ん切りがつきやすいからです。日本の国全体で、若者を自殺から何とか救いたいものです。
リストカット(手首の自傷)は、1960年代頃からアメリカで流行し、日本では1980年代から非常に多くの例が生じています。若い女性に断然多く、最近は手首を切るよりも、足や胸や腕など体のあちこちを切る方が多くなっています。
自分の手首を傷つける人をリストカッターといいますが、リストカッターは、人格的な問題を抱えています。彼らは体を傷つけて血が出ると、イライラ感や不安感が軽減し、ホッとします。痛みも殆んど感じません。多くは、数ヵ所を包丁やカッターナイフで浅く切りますが、この行為により死まで至ることは殆んどありません。
ヒステリーと以前呼ばれていた病気(今は解離性障害と呼びます)に生じる行為です。この行為は、親が自分を認めてくれないので、なんとか認めさせようとする行動の一つといえます。しかし、何回も繰り返せば注目されなくなります。それで、さらにエスカレートしていき、実際に死まで至る方法を行うようになることもあります。
女性に多い理由は、自分の認められ感のなさ、信頼され感のなさを表現するのに、男性は攻撃性を外部に出しやすいのですが、女性は自分自身の内面への攻撃として行動することが多いからではないかといわれています。
リストカッターはいつも情緒的に不安定で、不安障害(パニック発作)やうつ状態、摂食障害、薬物依存、不眠症などに陥りやすいのです。
手首や腕や足や体のあちこちを自分で傷つける若者達は、自分を取り巻く周囲の状況の変化で自傷をしなくなる時があります。それは、自分自身の能力や個性を周囲に理解され、自分自身を発揮できる場所が持続する時です。中学生から高校へ入学した時、大学へ入った時、就職した時などが、自傷をしなくなるきっかけとなります。しかし、環境が自分にとって再び良くないものになると、また自傷してしまうのです。
自傷する人達は、情緒不安定性人格障害の境界型といわれます。(境界型人格障害ともいう)このタイプの人格障害は、近年の日本では非常に増えているといわれています。